外国人就労拡大、閣議決定。 入管法改正案単純労働可能に

高度な専門人材に限っていた受け入れ政策の転換で、多くの外国人が働き手として来日することが見込まれ、日本社会が大きく変容する可能性がある。一方、制度の詳細が固まっていないことに与党からも懸念があり、野党は攻勢を強める構え。政府は否定するが「事実上の移民政策だ」との指摘も出ており、国会審議は曲折が予想される。

 安倍晋三首相は衆院予算委員会で「人手不足は成長を阻害する大きな要因になり始めている。しっかりと制度を作る」と強調。山下貴司法相は閣議後の記者会見で「法改正は重要かつ急務だ」と話した。

 東京新聞2018年11月2日

 

ご存知の通り、政府は入管法改正案を衆議院に提出しました。内容は東京新聞の記事をご覧ください。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201811/CK2018110202000279.html

この法案について、NPO法法人ひとりとみんなの立場を述べておく必要があると考えています。

 この法案は、そもそも外国人が必要な理由は「日本の人材不足」があるからという前提です。もちろん介護でも深刻な人材不足に直面しています。その意味からすれば、外国人にその補填を担ってもらうという発想はあるのでしょう。 しかし、私たちは当初から、日本の介護人材が不足しているから外国人にお願いするということの発想の間違を主張続けてきました。

 

その理由の端緒は私の留学生との交流にあります。

あるとき留学生に「日本で介護の仕事をするのはどう思う」と聞くと「いいと思います」といった後留学生は続けて「でも、先生、日本人がしたくないから外国人なんでしょう」との発言は、心が痛くなったことを覚えています。日本人がしたくないから、人材不足が続く、だから、外国人に「やらせる」ということが見え隠れするものだから、嫌な感じがするのです。

 

従来、我が国は外国人の入国に関して世界基準ではありえない対応をしてきました。それが人手不足というまったくの日本の理由で簡単に対応を変える。そして外国人と共生する仕組みも全く考えていないまま、進めていこうとする。ここに私は強い違和感を覚えます。

 大事なことは、日本が世界、特に歴史を踏まえてアジアの人々に対する果たすべき責任を自覚すること。そのうえで、日本がつくりあげた技術をアジアの人々と共有すること。その中で外国人も積極的に学び、日本で働くことができる日本語力や技術を習得することが大切であり、このような中で日本にとっても優秀な外国人材を育て、結果として人材不足の緩和に寄与できることではないかと考えています。

 即戦力だなんだといっているようですが、いったい、介護の現場ではどのような人が即戦力なのでしょう。おむつ交換が短い時間でできる人ですか?一人で何人もの食事介助を手ばやくできる人でしょうか?またそもそも介護を特定技能1号でいう単純労働としてみなす半面、在留資格介護などでは高度専門職として位置づける、この矛盾。いったい介護をこの国はどう見ているのでしょう?

 大切なことは、日本で働くのであれば、ちゃんと日本語を学び、そして、現場で実践力を身につけ、と同時に介護の専門教育を受けるということではないでしょうか。それを支えるのが国家の責任というものではないでしょうか?私たちは現在、留学生の日本語の学費を施設に負担してもらいそれを正式就労後返済する仕組みをとっていますが、これを全額とはいいませんが、国が5割から8割くらい負担してもいいのではないでしょうか。

 

特定技能2号は、ほぼ永住できる権利ですが、介護に関しては特定技能2号は設けず、私達が行っている在留資格介護で対応する(要は家族滞在は在留資格介護でしか認めない)といっていることはよいことです。学卒介護福祉士が高度介護人材という仕立てなのでしょう。

 別の視点で考えてみます。本当に介護の現場で必要な外国人を入管が明確な根拠も理由もを示さないまま、恣意的と思われても仕方ないやり方で入国を制限している現実があります。まずはこの実態を明らかに、それを改善することが先決ではないでしょうか。

 ただ今回の政府の政策を非難するばかりでなく、市民がこういう中で外国人に対して何ができるのか問い続け行動することも大切ではないかと強く感じるのです。ある意味、投げかけられているボールをちゃんと受けとめ実践を通じて投げ返す。ここは重要です。

 外国人を猫の手にしない、外国人と日本人が共生できる社会を創らねばならない、人手不足のために外国人を利用してはならない。ここは心しておきたいと思います。

 われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。

日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。

(注・・自国=自国民  他国=他国民  自国民と他国民との関係は対等であること・・・)

(日本国憲法前文)

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